生産者紹介8.中島牧場
中島義雄さん 東京都町田市
住宅地を抜けて、急な坂道を上がった所に中島さんの牧場はある。草を食む子牛達の向こうを見ると、JRなど3線が乗り入れる橋本駅周辺の高層ビルを望むことができる。まさに、絵に描いたような東京の酪農の姿がそこにあった。
以前は兼業だったが昭和36年から酪農専業になり、現当主の義雄さんは、昭和45~46年頃から家業に入ったそうだ。「学校は工学部だったので、初めはまったくの素人。人に聞いて教わりながらやってきました」と、中島さん。現在は、中島さんと奥さんの2人で経産牛(出産を経験して乳を搾ることのできる牛)34頭、育成牛(出産を経験していない子牛)10頭を飼育しているほか、北海道に10頭を預託中※だという。
中島牧場のある町田市では、平成4年から市内の高学年の小学生を付近の施設に宿泊させ、実際の酪農作業を体験させる取り組みを毎年夏休みに行っている。中島さんのところにも、毎年、数人の子供たちがやってくるそうだ。初日の午後は牧場の仕事を全て体験、近くに宿泊して翌日は参加者全員でバーベキューを楽しむというプログラムだ。
「初めは牛の大きさや糞尿の臭いにびっくりしていますが、パックに入って冷えた牛乳しか知らない子供たちが、生乳や牛の温かさを知り、命の大切さを学んでいきます。最後には楽しかったという感想で、終わったあと作文をもらうのが楽しみですね」と中島さん、にっこり。
他にも小学1年生と3年生は、社会科見学の一環として牧場見学にやってくるそうだから、中島牧場にとっては、牧場を知ってもらう良い機会だし、子供たちにとっては実際に牛とのふれあいを持てる機会となっているようだ。
最後に、『東京牛乳』発売に当たっての意気込みをうかがうと、「東京という消費地の中にある生産者は、もっと積極的に存在をPRするべきですね。今回の『東京牛乳』の発売で、安心・安全な東京の牛乳を消費者の皆さんにアピールしたいです。飼育にもこだわりを持っているので、飲む方も新鮮な東京の牛乳をこだわって飲んでください」とのこと。
この夏休みも中島牧場には子供たちの声が響き、命の大切さを学んでいったことだろう。
預託=北海道の本別農協と契約して行っているもので、東京で生まれた約8ヶ月の牛を北海道に送り、妊娠してから東京に戻してもらうことをいう。
※地産地消=地域の消費者ニーズに即応した農業生産と、生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結びつける取り組み。
東京牛乳は東京都酪農業協同組合と多摩地区の酪農家及び協同乳業で共同開発した産地指定牛乳です。
製造工場 協同乳業㈱東京工場(東京都西多摩郡日の出町平井20-1)
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