生産者紹介2. 清水牧場
清水陸央さん 東京都西多摩郡瑞穂町
牛を飼って生乳を搾る酪農というと、“汚い、臭い、きつい”という3Kの代表の仕事のような先入観を持ちがちだが、清水牧場の牛舎に一歩足を踏み入れると、目からウロコ、先入観がひっくり返る。三代目の当主・陸央氏が2006年3月に建て替えたばかりという牛舎には、臭いもほとんど無く、明るい日差しと気持ち良い風があふれている。牛たちも下に敷かれたおがくずの上に寝転んで、気持ちよさそうだ。周辺は住宅も多いため、糞尿の臭いなどには特に気を使っており、餌によって臭いが違ってくるので、夏場には餌の配合を変えているほか、糞尿で出来た堆肥を自分の畑に撒いて、そこで飼料用のトウモロコシを作るなどしているという。
もっと驚くのが、関東でも15台、東京では1軒だけというコンピュータ管理のロボット式搾乳システムだ。24時間、自動的に搾乳してくれるこのシステムは、牛の首につけたICチップで1頭1頭の牛を管理しており、牛たちはおっぱいが張ってくると自分で搾乳ロボットのところに行って、美味しい餌を食べながら搾乳してもらうという。このロボットのすごいところは、どの牛が何度来て、どのくらいの乳を出したか管理するだけではなく、機械に不調があった場合に登録しておいた電話番号に自動的に電話し、音声で不調の内容を知らせてくれるところにもある。また、おいしい餌に釣られて、何度も入ってくる牛がいると、搾乳してくれないそうだから笑える。人も牛も、楽をしておいしい思いはできないようだ。
牛は、おっぱいが張ってくると自分で搾乳ロボットのところに行く。するとセンサーで乳頭を認識して自動的に洗浄し、乳を搾るためのライナーを装着する。搾られた生乳は、自動的に計測され、その後、タンクへと送られる。このロボットは24時間稼動しているので、夏の暑い時などは、夜中に搾乳しに来る牛も多いそうだ。
現在、清水牧場は清水さんと奥さん、従業員1名の3人で経営しているが、作業時間が大幅に短縮されたため、交代で休みを取ることも可能になったという。
学生の頃、ずっとマラソンをやっていたという清水さんは、マラソンを続けられたのは、牛乳のおかげと言う。「牛乳は体にいいので、特に女性やスポーツをする人には、ぜひ飲んで欲しい」と清水さん。「消費者と触れ合いたいので、どんどん牧場見学に来て、今の東京の酪農の姿を見てください」ということなので、目からウロコの清水牧場に遊びに行って、「東京牛乳」の作られる現場を見てはいかがだろう。
清水牧場取材の際に、偶然、牛の出産に立ち会った。子牛には健康のため、しばらく母牛の乳を与えるが、母牛別の乳の選別も搾乳ロボットの設定を変えるだけでOK。
また、生まれた子牛に授乳するのも、授乳ロボットを使うという。8月中に20頭ほどの子牛が生まれるというから、今後、授乳ロボットも大活躍することだろう。
※地産地消=地域の消費者ニーズに即応した農業生産と、生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結びつける取り組み。
東京牛乳は東京都酪農業協同組合と多摩地区の酪農家及び協同乳業で共同開発した産地指定牛乳です。
製造工場 協同乳業㈱東京工場(東京都西多摩郡日の出町平井20-1)
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