生産者紹介4. 磯沼牧場
磯沼正徳さん 東京都八王子市
「酪農教育ファーム」という制度がある。社団法人日本中央酪農会議が認定する、「酪農や農業、自然環境、自然との共存関係を学ぶことができる牧場や農場」のことで、磯沼ミルクファームも認定牧場のひとつになっている。
「街中にある牧場としての特徴を生かして、見に来たり、乳搾りを体験したり、牛と触れ合ったりして欲しい」と、磯沼さん。取材にうかがった日も親子連れが来て、牛との触れ合いを楽しんでいた。
自称“ちょっぴり変わっている”磯沼さんはアイデアマンで、色々なイベントを行ったり、「カウボウイ・カウガールスクール」という牧場体験の講座を開いたり、「世界一小さなヨーグルト工房」でヨーグルトやアイスクリームを作ったり、牛の世話をしたりと大忙しだ。「自分が楽しんで牛を飼っていないと、遊びに来た人も牛を好きにならないでしょ?」という磯沼さんは、確かに楽しそうに働いている。ここに来て、牧場体験をした子供たちは、きっと牛や牧場が大好きになることだろう。
不思議なことに、90頭もの牛を飼育している磯沼ミルクファームは、牛の糞尿の臭いがほとんどしない。牛たちも汚れていないし、なんだか気持ちよさそうにしている。その秘密を磯沼さんに聞いてみると、コーヒー豆やカカオ豆の殻の部分を工場と契約して買い取り、牛舎に敷いて、臭いを抑える工夫をしているという。初めは牛が気持ちよくいられて臭いも抑えられる、ということだったらしいが、堆肥を作る際の発酵熱が高くなって発酵も促進されることで、栄養分も豊富な良いものができるようになったという。その堆肥の商品名が「牛の助」。牛にも、周辺の住民の方にも、地球環境にも優しい、無駄の無いシステムが確立されているのだ。
牧場=牛乳=ホルスタイン=白と黒のブチ、という先入観を持って磯沼ミルクファームに行くと、ちょっと驚く。入ってすぐの育成舎にいるのは鹿?と思ったらジャージー種の子牛。他にもなんだか色の薄い茶色の牛もいる。
磯沼ミルクファームは、昭和27年に磯沼さんのお父さんが農業との複合経営で始め、昭和35年に酪農専業に、今の形に切り替えたのは平成元年からだという。現在は90頭ほどを飼育しているが、そのうち半分がホルスタイン、残りの3分の2が濃いミルクを出すジャージー種、そして残り3分の1が、スイス原産で蛋白分が高くチーズ作りに向いているブラウンスイスという、薄茶色の牛。
「将来的には7種類の牛を飼って、乳製品を食べられるようにしたい」というから、さらに色とりどりになるに違いない。
「これまで良い牛乳を作っても“東京”というブランドで売られたことが無かった。「東京」で、よい牛乳を作るために努力している人間として、今回の『東京牛乳』発売は、手ごたえややりがいを感じる。若手が勉強しながら最先端の技術を取り入れて、おいしい牛乳を作っているので、ぜひ飲んでください」という磯沼さん。
これからも色々な楽しいアイデアを思いついて、都会の牧場ライフを楽しくしていってくれるだろう。
※地産地消=地域の消費者ニーズに即応した農業生産と、生産された農産物を地域で消費しようとする活動を通じて、農業者と消費者を結びつける取り組み。
東京牛乳は東京都酪農業協同組合と多摩地区の酪農家及び協同乳業で共同開発した産地指定牛乳です。
製造工場 協同乳業㈱東京工場(東京都西多摩郡日の出町平井20-1)
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